top of page

蒼生 梁

 

 上海で義務教育制度が試行された年に初等学校へ入学。殆どの子供たちが中途退学している中、仙境学校高等部へ進学し、特待生として同校大学部に入学する。所属は理学部生命科学学院。二学年の飛び級を経て大学卒業後、赤龍耀の推薦によりローマ研究所の研究員として採用され、地上開発計画に携わるようになる。研究分野は生物学、再生医学。

 南の若竹の農家出身という低所得世帯の子供でありながら、学力を認められ、上海の権力者として名の上がる赤龍グループの社長直々の推薦により、首島ロンドンで働くこととなった蒼生の存在は、農家の子供は農家にしかなれないといった古くからの考えに大きな衝撃を与えるものとなった。進学を望む子供が増え、農村部での教育ブームを巻き起こしたものの、学費負担は変わらず重荷となっており、農村部の子供で目立って成功した者は未だ蒼生のみとなっている。

 同僚のサラ・アルドリッジは初等学校時代の友人であり、学問の道を歩むきっかけとなった人物でもある。元々はロンドンからの転校生と聞いて珍しがり、仲良くなろうとした蒼生が、勉学にしか興味がないというサラに話を合わせるため、自然や生物の生態について教わっていただけであったが、サラに酷く気に入られ、次第に教材や文具を与えられるようになっていった。サラとは二年半の付き合いでしかなかったが、その影響は大きく、ロンドンへと戻り学者となったサラを追い越すまでとなる。蒼生にとってのサラは、今も昔も学問の良き先輩にして良き友人といった認識でしかなく、サラが自分に対し抱いている異常なまでの期待や執念には気付けていない。

 ローマ研究所内ではClass:αを除いて最年少であるにも関わらず、所長に加え地上開発計画の主任という立場に置かれていることは蒼生にとって当然、プレッシャーであり、上海島民の期待を背負っているということも相まって、大きな不安を抱えているが、学生時代から良くも悪くも浮いており、特別視されていたことか人への頼り方を知らず、何かと一人で抱えがちである。また、実直で純粋にして、常に人のためにあろうとする姿勢は、ローマ研究所の理念とは相反することもあり、自らが信じる正しさと、研究者として求められているものとの差に深く悩まされている。

 口数は少なく、人付き合いにも消極的であるものの、言動の根本にある優しさや誠実さが伝わるのか、多くの者から厚い信頼や好意を受けており、学生時代にも何度か異性から交際を求められてきた。とはいえ、恋愛ごとには疎く、二十歳のときに唯一付き合った女性とも、一人の幸せを優先することはできないという理由から別れている。

 グリニッジタウンに住むレオネル・リックマンは、人に依ることに抵抗を感じている蒼生が、個人的な問題に関して意見を仰いだり、弱音を吐いたりすることのできる数少ない知人である。尤も、蒼生はレオネルのことを理解し難い変人と評しているが、遠慮も偏見もなく、はっきりと叱責し助言を与えてくれることには素直に感謝している。

 

ノア Noah

 

 拳銃に分類されるアルヴィス製の星屑武器。グリップ下部の鳩を模した装飾と、銃身の波の文様が特徴的。装弾数は6発。星歌の発現には弾丸を必要としない。詠唱は“Do you deserve to come with me into the ship? ”

「ノアの方舟」

 詠唱者から半径2m以内の空間への対象の侵入を防ぐ。対象は生物に限らない。

「40夜の嵐」

 詠唱者から半径30mの範囲での星歌の使用が不可能となる。

「葡萄酒の誘惑」

 対象が星歌発現時の光を目視したとき、その対象を昏睡状態にする。

 

bottom of page