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 結晶技術を学んでいた大学時代の友人が、飲酒運転で事故死したという話をウィリアム・オークランドは耳にする。飲酒運転などするような奴ではなかったと、彼の死を不審に思ったウィリアムは、同じく大学時代の友人でありニューヨーク星歌隊に所属するジョン・アベルに調査を頼むのだが、その時には既に世界のタブーへと片足を踏み入れてしまっていたことに、ウィリアムはまだ気付いていない。

 

 同日、上海では黄浦学舎邸なる非営利自営学校の教師フレデリックを捜す者たちがいた。子供たちの間で、彼がヒトでないなどと噂されているのだ。しかし、フレデリックは先日から旅行へ出ているようで、彼の邸には留守番だという子供たちがいるだけである。

 

 フレデリックにそのような噂が立っていると聞いて呆れたのはロンドンにあるローマ研究所の面々であった。元々はローマ研究所の出である彼の勝手な行動は、もはや慣れたものであるものの、次は何を始めるものかと不安は残る。彼の行動を監視する者をつけようにも、一体彼は今どこにいるのだろうか。

 

 そんな動揺を知ってか知らずか、フェニックス教会の者たちはローマ研究所への宣戦布告をなそうとしていた。楽園である地上への降下及びに開発など認められるわけがない。今まで保たれてきた均衡など崩れ去り、要求を一向に聞き入れようとしないローマ研究所への武力行使をと掲げられた武器は、偶然にもウィリアムの足もとへと振り下ろされることとなる。

 

 点と点とが繋がり合って、世界を取り囲む大きな円になったとき、世界は変わるに違いない。フレデリックはその円の中心でそう確信する。そうして世界が変革したとき、人々は恐らく気付くのだ。

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