top of page

女性作家刺され死亡 争った痕はなし

[756/03/26] Today's New York Times

 

 マンハッタン区ミッドタウンで9日夜から10日未明にかけて、20代から30代の男女が刃物で胸や首を刺されるなどして殺害された事件が三件発生。マンハッタン捜査本部は同一犯の通り魔殺人である可能性が高いとみて行方を追うとともに、一人で夜道を歩かないよう注意を呼びかけている。

 

 一件目は9日22時46分頃、ミッドタウン北東住宅街で「若い女性が血を流して倒れている」と近隣住民からの通報を受け、警察官が駆けつけたところ、女性はすでに亡くなっていた。女性(21)はセントラルスクールに通う学生であり、アルバイト先の店からの帰宅途中であった。二件目は同日23時12分頃、同じくミッドタウン北東住宅街で帰宅途中の会社員の男性(33)が倒れているのを警察官が発見し、男性は病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。三件目は10日0時25分頃、ミッドタウン南東住宅街で男性(37)が車内で死亡しているのを、帰りが遅いことを心配した男性の妻が発見。男性は自宅前の駐車場に止められた車の中で死亡していたが、サイドウィンドウの外側と内側の両方に血痕が残されていたことから、車を出たところを刺され、その後車内に押し込まれたとみられている。

 

 いずれも住宅街で一人のところを襲われており、マンハッタン東部の住宅街では星歌隊による警備の強化が行われることとなった。

 

 

 25日21時頃、「ルビー夫人の帽子」などで知られる児童文学作家のキャスリン・サンダースさん(36)が、マンハッタン区アップタウンにある自宅の車庫で遺体で見つかった。

 

 キャスリンさんは昨夜、編集者との打ち合わせ後帰宅。自宅の車庫にとめた車から降りたところを襲われたようであり、司法解剖の結果、死因は失血死と判明。刃物による刺し傷は心臓に達しており、首にも深い切り傷があった。争った形跡はなく、即死に近かったとみられている。

 

 マンハッタン捜査本部はキャスリンさんの交友関係でのトラブルを調べているが、「(キャスリンさんは)恨まれるような人ではなかった」と関係者や知人らは口をそろえる。

 

ミッドタウン3人刺殺 通り魔殺人

[756/04/10] Today's New York Times

ジャクソン・トゥーリー殺害 有力情報なく

[756/07/09] Today's New York Times

 

 9日23時頃、俳優のジャクソン・トゥーリーさん(41)の遺体が、マンハッタン区ダウンタウンにある自宅で発見された。「トライアーズラボ」などで知られるジャクソンさんは、756年秋公開予定の「トライアーズラボ」シリーズ最新作で、前作に引き続き主役のフレディ・ミディ役を演じることが表されていたこともあって衝撃が広がっている。

 

 ジャクソンさんの遺体には首と胸に刺し傷があったことが捜査関係者への取材で分かった。屋内での犯行ではあったものの、3月25日と4月9、10日の事件と被害者の状態が似ていることから、三つの事件に関連がないかどうか慎重に調べを進めている。

 

無差別殺人再び 仮面の男映る

[756/09/21] Today's New York Times

マンハッタン連続殺人 犯人死亡

[757/01/25] Today's New York Times

 

 マンハッタン区ミッドタウンのマンションで住人の女性(26)が首や胸などを刺されて死亡した事件で、現場の6階廊下の防犯カメラに被害者の女性と共に仮面の男が映っていたことが明らかとなった。

 

 この事件は21日16時過ぎ、マンハッタン区ミッドタウンのマンションで住人の女性が殺害されたものであり、その手口や凶器は今年3月から続いている連続殺人と同様のものと見られている。捜査関係者らによると、男は二十代前半、痩せ型、175cm前後であり、顔の右半分のみに仮面をしていたとのことで、男を一連の連続殺人の容疑者と見て指名手配とすると同時に、男に関する情報を求めている。

 

連続殺人犯 777という男

[757/01/30] 元犯罪請負人の証言

 

 25日15時頃、ニューヨーク・タイムズ社の社長、マカ・マクドネル氏(38)の自宅で、マンハッタンで連続して起きていた殺人事件の犯人とみられていた男が警備員によって射殺された。

 

 男は昼間、マクドネル氏と娘のミルフィーちゃん(10)の不在時にマクドネル氏宅に侵入すると、リビングにいた妻のプリムさん(30)を殺害しようとしたが、不審者の侵入に気が付いた警備員らに囲まれ、プリムさんを人質にとっていたが、警備員の一人が男に向けて発砲。男は足や肩、心臓を撃たれており、失血死したとマンハッタン警察署長は発表した。人質にとられていたプリムさんも右肩と右脇腹に銃弾を受けており、病院に搬送されたが医師によると命に別状はないとのことである。

 

 この男と、マンハッタンの連続殺人犯が同一の人物であるかどうかの確認が行われていたが、どちらもサウス・ブロンクス出身の、777と名乗っていた男であるという見方が有力となっている。一連の事件との関係性が明らかになっていない事件も含めると、マンハッタンだけでもこの1年で30人から40人の被害者が出ていた可能性もあるとされている。

 

 

 756年3月25日に始まり、757年1月25日に幕を閉じたマンハッタン連続殺人事件を受けて、”専門家”たちはこのような事件が起きてしまったのは、社会や制度の歪みのせいであると原因付けたり、犯人を取り巻いていた環境を取り上げては何が殺人鬼を作るのかと論じ合っているようであるが、彼という殺人鬼と1年間付き合いのあった私から言わせてもらえば、彼の犯行は常識的な感性を持つ人に理由づけできるようなものではなく、プロファイリングに見られるような典型的殺人鬼であるわけでもない。それを快楽殺人といってしまうのであれば、それまでだが、彼はもはや快楽や何という以前に、当然のように人を殺すのである。落ちていた1ドル紙幣を軽い気持ちでもらってしまうのと同じようにだ。つまり、本来の彼には殺人を繰り返す事で世間的に注目されたいといった欲はない。それ故に今まではサウス・ブロンクスで目立たない殺人を繰り返してきていたはずなのである。このマンハッタンでの一連の殺人事件は彼にとっては特異なものであり、その理由を彼に問うと、ただ「頭痛の原因である男への復讐である」と言うだけなのだ。病的な被害妄想を疑われるような発言であり、私もまた、冗談や軽口の多い彼のことであるから、そういった類のことであろうと思っていたのだが、マクドネルもまた、かの殺人鬼777が死亡してからというもの、長い間悩まされてきた頭痛から解放されたようであると娘のミルフィーは証言する。

 

 して、この事件はマクドネル宅の警備員が彼を射殺したと報道されているが、事件の真相の多くは報道されることがなかった。もし全てが明るみとなってしまえば、マクドネルも、妻のプリムも、娘のミルフィーも、ただの被害者ではいられなくなってしまう。それ故、マクドネルは全てを隠し、目の前で起こった事件の真相を報道することを許さなかったのだ。しかし私は語ることができる。今となってはマクドネルも、それを止める手立てを持たないだろう。

 

 事件当日、マクドネル宅に侵入した777には5つの誤算があった。1つ目は、学校へ行っているはずのミルフィーが、プリムと共に家に残っていたということ。2つ目は、会議のため帰りが23時になるはずであるマクドネルが15時に帰宅したということ。3つ目は、彼が切り札としていた星歌を先手を打って禁じられたということ。4つ目は、マクドネルがプリムに向かって躊躇なく発砲したということ。5つ目は、私がミルフィーに化けていたということである。順を追って話すのであれば、まず、警備員の目を掻い潜り、易々と宅内へと侵入した777がリビングにいるプリムを殺害しようと試みたところからである。今まで通り、一人でいる者を後ろから襲い、喉を切り、心臓を刺して殺すだけのことであれば、それこそ彼にとってはステーキを切り分けるより楽な話であった。しかし、彼がリビングへ入り、自らに背を向けて座っているプリムの背後に立とうとしたとき、彼女の足元には、この時間いるはずのない娘、言ってしまえばミルフィーに化けた私が座っていたため、驚いて、プリムへと向かいかけていた足を一瞬止めたのである。その一瞬に合わせるように、彼が入ってきた扉からもう一人の予想外の人物は拳銃を片手にリビングへ飛び込んできた。そちらも、朝は確かに出かけ、帰りは23時であったはずの、つまりはこの時間いるはずのないマクドネルであったのだから、777は酷く動揺した。

 彼はマクドネルの不意打ちの発砲を咄嗟に避けると、プリムの腕を乱暴に掴みあげ、盾にするように自らに拳銃を向けるマクドネルとの間に立たせたのだが、マクドネルはそれに対し何の反応も見せないどころか、妻に当たることも躊躇わず、更に数発777へと撃ったのである。その内二発はプリムの右肩と右脇腹に、一発は777の右肩に当たった。芳しくない状況にあると判断した777は、プリムを思い切り前へと突き飛ばし、それを受け止めたマクドネル共々潰し消し去るための星歌を唱えたものの、その星歌すら発現しない。既にリビングには、彼の星歌を打ち消すための星歌が発現していたのだが、彼がそれに気付くより前に、彼の直ぐ背後に座り込む、恐らくは何もできないただの子供だと思われていた私が、スカートの下に隠していた拳銃でもって、777の膝窩に向けて発砲した。予想もしていなかったであろう背後からの攻撃を避けることはできず、777はその場に倒れ、マクドネルと、急ぎリビングへと入ってきた警備員らによって取り押さえられることとなったのである。

 

 これだけでも十分に、報道されていた内容とは大きく異なる。とはいえここまでは、私とマクドネル一家との間で立てた計画通りであり、面白いのはその後だ。警備員らによって手足を拘束され、マクドネルが警察、そして病院への連絡を行っていたとき、私は拳銃を再びスカートの中へと隠してプリムのもとへ駆け寄り、彼女の怪我を見てやろうとした。大丈夫かと声をかけても、彼女から零れる声はあまりにも小さかったため、私はそれを聞き取ろうと、彼女の口元へと耳を寄せたのであったが、その瞬間彼女は怪我人とは思えない動きで私のスカートの中から拳銃を奪い取ると777へ向けてたった一発、心臓に向けて撃ったのである。それはとても、拳銃を初めて扱うものの動きではない。その場にいた全員が状況を理解できず、唖然とする中、777は心臓に開けられた穴から血を流しながら絶命した。

 

 その後、気を失ったプリムは病院へ、777は検死局へと送られ、マクドネルは事情聴取を受けることとなったのであろうが、私は早々その場を後にしてしまったため、どのようにしてマクドネルが事実を捻じ曲げたのかは知るすべがない。何にせよ、おかしなことだらけの事件であったということ以外、今の私にも言えることはないということだ。

 知り合いである777を裏切り、私がマクドネルに協力したのは、かの新聞記者変死事件で777に殺された男が私の師であり旧友だったから、というただそれだけの話であるから語るには足らない。どのみち、その男がしたことも永遠に世の人々の耳に入ることはないのだろうから今ここに軽く示すのであれば、彼はマクドネルに雇われていた請負人であり、777の星歌を打ち消すための星歌を導き出したのもまた彼である。虎穴に入らんば虎児を得ずとは言うが、その虎児を私に任せ、虎に食い殺されてしまったのだからはた迷惑な話だ。仕方なく私は、彼の意志を継ぎマクドネルに雇われ、777逮捕に手を貸した、というわけである。

 

 本取材に対し私が答えられることは以上となる。777が述べていた頭痛とマクドネルとの関係、及びにプリムが777を殺害した理由などは、私よりも別の人間にあたったほうがより詳しい話を聞けることだろう。777は生前、良くブロンクスのカジノを利用していたと聞く。

 私はただ、マンハッタンに平和が戻るよう願うばかりだ。

 

新聞記者変死 星屑武器か

[757/01/05] Today's New York Times

 

 マンハッタン区アップタウンの路上で5日夜、ニューヨーク・タイムズ社の記者である男性(27)の遺体を通行人が発見し、警察へ通報した。

 

 男性の遺体は、下半身がまるごとプレスされたかのように潰れており、周囲の壁も異様な抉りとられかたをしていたことから、星屑武器の用いられた犯行として、星歌隊による捜査が進められている。また、同時刻、現場付近でいくつかの建物が損傷を受けているとの通報が入っていた。

 

 昨年から続く連続殺人に加え、怪事件が相次ぎ、マンハッタンの住民らは不安を抱えている。

 

bottom of page