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サラ・アルドリッジ

 

 小学4年まではロンドン・ローマの初等学校、小学5年、6年は上海・金山区の初等学校に通い、ロンドン・シャンゼリゼにある全寮制中等学校を卒業後は、ヴェネツィア・セスティエーレの現地校で高校生活を送る。ロンドン・ローマに戻りオールドヴァチカンカレッジにて心理学を学び、25歳で博士号を取得。その後、スクルドと共にローマ研究所にて地上開発計画を開始する。研究分野は発達心理、認知心理、精神医学。専門ではないが人類学、結晶工学など、多方面に学識がある。

 両親共にローマ研究所の初期メンバーであり、幼少期から研究所の一室に預けられて育ったため、家よりも研究所で過ごしていた時間のほうが長く、スクルドが面白がって育児の真似事をしていたこともあって、彼女のことは半ば母、半ば友のような存在であると考えている。絵本代わりに辞書を読んでいたような子供で、初等学校にあがる頃には中等学校で習う内容の全てを理解していたが、サラにとって学校とは同世代の子供の社会性を観察する場であり、退屈することはなかった。

 母親が療養のために実家のある上海へと帰った際、共に上海へと渡り、家から最寄りの金山区初等学校へ転入。そこで蒼生梁と出会い、年少者に学問を教える楽しさを知るものの、それは教育を通した価値観の支配に対する悦であった。小学校卒業後は療養を終えた母親と共に一度ロンドンへと戻り、シャンゼリゼ校の寮で暮らすこととなる。この頃から女癖が悪くなり、複数の女子と関係を持つようになるが、誰かを本気で愛することはなく、現在に至るまで長く交際していた異性はいない。高校はヴェネツィアの現地校に進学したため、母語である英語、中国語に加え、イタリア語で日常生活が送れ、また、フランス語、日本語、古代言語であるギリシャ語をある程度理解している。

 あらゆる物事に対する罪悪感が決定的に欠けており、同情というのはあくまで言葉の上にしか存在しない。とはいえ振る舞いや物言いは至って自然であり、大抵の者は彼の本質に気付かないが、高校、大学の同級生である同僚のスズ・ピッキは彼のその人間性を理解している上で、彼のことを友人と認めている。腐れ縁のようなもので、互いに恋愛感情は一切ない。

 オールドヴァチカンカレッジにはローマ研究所のほうから通っていたため、フレデリックやミランダ・バーネットのことは二人が4歳の頃から知っている。特にインカローズとは、フレデリックが幼い頃から何度も話しており、人間の進化、という目的を共有した。ただ、根本的な考え方や性格は合わず、親しい間柄というわけではない。また、ミランダからは一方的にかなり嫌われている。皮肉めいた物言いをすることがあるが、本人曰く親しみを込めてとのこと。

 サラ自身、なぜ自分が時代の変革を望むのか、なぜ人間の進化を求めるのか、はっきりとはわかっていない。人ならざる者であるスクルドに育てられ、彼女の思想の影響を受けてきた身としては当然とする一方、その答えは変革のあとに見つけられるのではないかと期待もしている。真実とは絶望であり、知識を得ることはその絶望に近づくことと考えていたものの、ローマ研究所で同僚として再会した蒼生が、幼少の頃と変わらず純粋な正義と善を信じていると知って、その精神の行きつく先を試している。

 

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